書評:「心の時代」にモノを売る方法
「心の時代」にモノを売る方法 変わりゆく消費者の欲求とビジネスの未来 (角川oneテーマ21)
- 作者: 小阪裕司
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/11/10
- メディア: 新書
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ピラティスって何なのか?
商品として考えると本当に難しい。
物を売っているわけではないし、その効果は幅広く、絞り込んで伝えるものむずかしい。
大切なことが消費者の志向も変わっているという事。
時代と共に「消費」のタイプも変化しているという。
”食の消費で例えると、胃袋を満たす消費の時代から、舌で味わう時代へと移行し、現在は頭で楽しむ時代になっているという。”
胃袋の時代のピラティスならならエクササイズ色が強く動いた!汗をかいた達成感!のようなものだろうか?
"胃袋を満たす時代には、とにかくお腹さえ膨れれば、それでよかった。それが舌で味わう時代になってくると、おいしくなければならない。いろいろなものを食べてみたい、盛り付けが素敵といった要素も加わってくる。”
舌で味わう時代なら、短期間、短時間で明確な効果が現れる、とかバリエーションがあって楽しい、とか。高級感のあるスタジオで、シャワーがあってとか、物の本質よりも魅力的かどうか。
”さらに頭で楽しむ時代になると、これはどこで採れたものだろうか、どんな人がつくっているものだろうといったことなどが、食べることにかかわってくる。”
頭で楽しむ時代のピラティスはインストラクターの人間性、1時間のレッスンの質というところだろうか。
”生産者が社会貢献を行っていたり、安全確保にレベルの高い取り組みをしていることなども、評価につながってくる。"
利益を追いかけるようないわゆる”工業化”された大きなシステムで自動的に売り上げが右肩上がりになる仕組みより、
社会貢献や理念、取り組みというところまでが消費の評価に入ってい来るという。
時代とともに、人の欲求が"腹"から順番に"胸"(ハート)、"頭"(理性)と満たされるのを求めているのだと思う。
”食い散らかすような消費”の時代が終わり、”選ぶ消費””賢い消費”に変わってきていると。
そして第四の消費に時代の基準として
1.個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義へ
2.私有主義からシェア志向へ
3.ブランド志向からシンプル・カジュアル消費へ
4.欧米志向、都会志向、自分らしさから日本志向、地方志向へ(集中から分散へ)
5.「物からサービス」への本格化、あるいは人の重視へ
自分のことを考えてる人より、業界や社会、国の事を考えて行動している人へ
知識や技術、利益を独占する人から惜しみなくシェアする人へ
物の所有から、体験することの価値へ
海外の技術や人への熱狂的なあこがれから、祖先やルーツ、地方を知ることへ
また、お金を払う事の価値が「所有権の移転」から、「体験の取引」に変化しているという。
タイトル通り心の時代にモノを売ることは、所有する価値から体験を通して得られる"コト"に価値がある時代になってきたということ。
ピラティスはモノではなくコト。
価値を売る、言い換えると「伝える」ことにとても参考になる本です。